このまま人生を諦めたくはない。
私は、これまでの自分と決別することにしました。
自分の人生を取り戻したい――
そんな思いから、私は夫に言いました。
「もうこれ以上、介護はしたくない」と。
以前あれほど、
母との同居を望んでいた夫でしたから、
聞き流されるかも知れないと、覚悟はしていました。
けれど、一瞬戸惑ったあと、
「わかった」と、うなずいてくれました。
その時まで、
「無責任な事を言って、このまま投げ出すつもりなのか」
そんな思いが心に重くのしかかっていました。
だからこそ、
夫が受け止めてくれたことに、
大きく救われたのです。
次の日、私は、
これまでどんなに大変だったかを伝えようと、
長い説明文を、義兄弟たちにメールで送りました。
すると、夫が慌てた様子で、
「何をしたんだ」と、私に詰め寄ってきました。
ほどなくして、義姉から
「なんだ、これは」と、
恐ろしい声の電話がかかってきたのです。
一晩眠らずに考えた内容だったので、
少しとげとげしかったのかもしれないと見返すと、
「もうお義母さんの介護はしません」
この最後の一行だけが送信され、
他の部分は、送られないまま消えていました。
私は、すべてを説明するつもりだったのに
不手際で、いちばん伝えてはいけない一文だけが、
彼らのもとへ届いてしまったのです。
この日を境に、私と義兄弟たちのの関係は、
静かではあるけれど、確かに変わり始めました。



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