自分の役割を放棄して、
「これが私の人生だ」と言えるものは、
簡単には見つかりません。
でも私には、一つだけ大切にしてきた夢がありました。
それは、小学校にあがる前のことです。
つま先で立ち、アラベスクのポーズをとった
バレリーナの写真を見て、
私は大きな衝撃を受けました。
それは、あまりにも美しく、
まるで別世界の人のようでした。
けれど学生のうちは、どんなにだだをこねても
習わせてもらえませんでした。
高校を卒業する頃には、
「もう成長も止まったし、今さら遅い」
そう思い込み、その夢は諦めていたはずでした。
それが――
介護をしなくてもよくなった勢いで、
私はバレエを始めてしまいました。
腰痛持ちの私が五十五歳の時です。
バレエのクラスのほとんどは小学生から高校生。
その子たちの後ろで、おばあちゃんのような私が、
ついていこうと、はっちゃきになっています。
それでも、大切にしてきた夢だったから。
六十歳になった今も、私はバレエを続けています。
介護の中で、自分のことを後回しにしてきた方へ。
何もできなかった時間は、無駄ではありませんでした。 その先に、まだあなたの人生は残っています。
介護は尊い役割ですが、 同じように、
自分自身の人生も尊んでほしいと思います。
この連載のまとめは、こちらから
介護からの脱却まとめ 介護を終えて5年後に思うこと



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