義母との会話で、
幼い頃に学校に通えなかったことを聞きました。
そこで、高齢者向けの公共講座が、
散歩にもちょうど良い所にありましたので行ってみました。
皆さん学生になって楽しそうでした。
義母もそうなってほしかったのですが、
初日の出席を取る際に、
帽子を脱ぐよう注意され、
義母は機嫌を損ねて、
教室を出て行ってしまいました。
また、畑仕事が好きだと言うので、
野菜を栽培しているご近所さんに、
話してみましょうかと尋ねると、
人の土地ではやりたくない、とのことでした。
新しい環境に馴染むのは、抵抗があるようでしたが、
何かを始めたい気持ちがあったようです。
そんな時、義母の昔からの知人と出会い、
近くに住んでいることが分かりました。
木漏れ日の涼しいベンチに腰掛けて、
数人で楽しく過ごしておられました。
義母も時折、そこへ足を運ぶようになりました。
ところがある時、
「寒いから帰った方がいい」
そう言われました。
視線をそらしたその一言の背後に、
拒絶の本当の理由が隠れていました。
寒さではなく、おもらしだったのです。
嫁という立場から、
おむつへの切り替えを勧めることは、
とても難しいことでした。
義母は、おむつの取り扱いに混乱してましたし、
何よりも羞恥心から、着用を嫌がっていました。
そんな時、義姉が何日か義母についてくれ、
何とか乗り切ることができました。
環境は衛生的に保つことができるようになり、
お世話する側としては、
手がかからなくなりました。
けれど同時に、
義母の中で、何かが少しずつ欠け始めていました。
知ったかぶりのうそは減り、
好きだったマニキュアは、はがれたままでした。
うつろな眼差しで、
ただぼんやりと座っている義母を見ながら、
私は、言葉にならないやるせなさを感じました。



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