【介護からの脱却⑤】認知症介護で崩れていった家庭

義母との同居介護

気丈だった義母が、
だんだん空気が抜けていく
風船のようになっていきました。

その変化は、
私たちの家庭にも、静かに影を落として
いきました。
 気落ちしていく義母を支えたいのに、
そうなれない自分への葛藤がありました。

子育ては、子どもが成長していくことへの
喜びがありましたが、
介護は、それとは真逆です。

洗濯物を干していると、
いつ入れたのか分からない、
汚物にまみれた義母の下着がまじっている。
義母の布団の下からは、
カビの生えたおもちが出てくる。
部屋の隅から、歯形のついた石けんが出てくる。
トイレの便器にゴミを流して詰まらせる。
ゴミ箱で用を足す。

症状が悪化するほど、
手助けをしてくれる人は減ります。

苛立って、声を荒げてしまうことも何度もありました。
そのたびに、
口から出た言葉の醜さが、
いちばん深く突き刺さったのは、
私自身でした。

なにか大きな問題が起こったわけではありません。
日々の中の些細なことが、
気持ちを蝕んでいきました。

そしてそれは、
私だけでなく夫と子供たちもそうでした。

学校や仕事を終えて帰宅し、
家では、ほっとくつろげるはずなのに、
玄関の扉を開けると、
嫌な気分になる――

悪臭が、そうさせるのです。

誰も、義母が嫌いなわけではないはずなのに…。
家の中は、
少しずつ、安らげる場所がなくなっていきました。

この連載のまとめは、こちらから
介護からの脱却まとめ 介護を終えて5年後に思うこと

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